「SES やばい」「SES やめとけ」——未経験からインフラエンジニアを目指して調べ始めると、この言葉に必ずぶつかります。結論から言うと、SESという働き方そのものがやばいのではなく、やばい会社とやばい現場が一定数混ざっているのが実態です。そして未経験転職の求人の多くはSESなので、「SESを避ける」より「SESの中で当たりを引く方法を知る」ほうが現実的な戦略になります。
現役でインフラの現場にいる立場から言うと、SESは未経験にとって現実的な入り口であり、選び方さえ間違えなければ十分に機能します。この記事では、SESの仕組み、「やばい」と言われる理由の実際、会社と現場の見極め方を解説します。
SESとは。仕組みを1分で理解する
SES(システムエンジニアリングサービス)は、自社に雇用されたエンジニアが、客先の現場に常駐して働く契約形態です。給料は自社から出ますが、働く場所と業務は配属先の客先で決まります。
未経験のインフラ転職でSESが入り口になりやすいのは、監視・運用のポジション(仕事内容は監視運用の仕事はつまらない?で解説)に「未経験でも入れる枠」が構造的に存在するからです。自社開発企業やSIerの正社員採用は未経験にはハードルが高く、実務経験を積む最初の1〜2年をSESで過ごし、その後にステップアップするのが現実に多いルートです。
「やばい」と言われる理由と、実際のところ
- 現場ガチャがある: 事実です。スキルが積める現場に当たるか、単純作業だけの現場に当たるかで、1〜2年後の市場価値が大きく変わります。ただし後述のとおり、ガチャの当選率は入社前の準備と会社選びで大きく操作できます
- 給料が上がりにくい会社がある: 客先からの単価と本人の給料の差が大きい、いわゆる還元率の低い会社は実在します。評価制度と昇給実績が説明できない会社は要注意です
- 帰属意識を持ちにくい: 常駐先で働くため、自社の同僚と会う機会が少ないのは事実です。これを気楽と感じるか孤独と感じるかは人によります
- 経歴を盛るよう指示される会社がある: 未経験者の経歴を偽って現場に入れる会社は実在し、これは明確に「やばい」側です。面接でスキルシートの書き方に違和感を覚えたら避けてください
まとめると、SESの問題は構造ではなく個体差です。同じSESでも、教育と現場選定がまともな会社に入った人と、そうでない会社に入った人では、2年後がまったく違います。
やばい会社を見分けるチェックリスト
面接と求人票で、次の点を確認してください。
| 確認ポイント | 良いサイン | 危険なサイン |
|---|---|---|
| 案件の内訳 | インフラ案件が中心で具体的に説明できる | 「いろいろあります」で濁す |
| 経歴書の扱い | 経験を正直に書く | 経験を盛る・偽る指示がある |
| 教育体制 | 研修内容と期間が具体的 | 「現場で学べます」のみ |
| 評価・昇給 | 昇給の基準と実績を説明できる | 説明が曖昧、還元率を答えない |
| 現場の希望 | 希望を聞く仕組みがある | 「案件は会社が決めます」のみ |
面接は会社があなたを見る場であると同時に、あなたが会社を見る場です。逆質問で「未経験入社の方は、最初どんな現場に入り、その後どうキャリアが進んでいますか」と聞くと、実例で答えられる会社かどうかで多くが分かります。
当たり現場を引く確率は、入社前の準備で上げられる
見落とされがちな事実として、配属先はスキルの近い候補者から順に良い現場へ決まっていくという力学があります。同じ未経験でも、Linuxとネットワークの基礎が手で動く人は、面談で通りやすく、単純作業だけの現場ではなく学びのある現場に配属されやすいのです。
つまり「SESはガチャ」と嘆くより、ガチャの当選確率を自分で上げるのが合理的です。
- 入社前にLinuxとネットワークの基礎を固める(学び方はLinuxの勉強は何から始める?を参照)
- 学習の記録を残し、配属面談で提示できる材料を作る
- 監視・運用に入ったら、構築へ上がる学習を続けて1〜2年で現場を変える
InfraDojoのキャリアロードマップは、この入社前の基礎作りを1日1時間・約2ヶ月で行う設計です。完走すると学習ログが実績として残り、求人や企業の見極めを支援するキャリアサポートの対象になります。
よくある質問
Q. SESから自社開発やSIerに転職できますか?
できます。監視・運用で1〜2年の実務経験を積み、構築の経験やクラウドの学習を加えて転職するのは定番のルートです。大事なのは、最初の現場にいる間も学習を止めないことです。経験年数だけ長くてスキルが止まっている状態が一番転職しにくくなります。
Q. SESを避けて、最初から自社開発に入るのは無理ですか?
不可能ではありませんが、未経験向けの枠は少なく競争率が高いのが実情です。SESを含めて広く受けながら、会社の質で選別するほうが、転職活動が長期化しにくい戦略です。
Q. 入ってしまった現場がハズレでした。どうすべきですか?
まず営業担当に現場変更の希望を伝えてください。並行して、現場外での学習と記録を続けて次の面談材料を作ります。半年〜1年動きがなく、会社が現場変更に応じる気配もない場合は、その経験を持って転職を検討するのが現実的です。